出会いの喜びと続ける苦しさ−ヴァイオリニスト川畠成道さんの言葉

いまから10年以上前、ヴァイオリニストの川畠成道さんが社会福祉法人のホールで演奏してくれた。川畠さんに申し訳ないほどの小さなコンサート。私が勤めていた法人施設のイベントでのこと。

弾いている途中に、大きな拍手をする人がいた。まだ曲が終わっていないフレーズの合間に、その人は気持ちを率直に表現した。感激して称賛していたのだと思う。

私は少し慌てた。演奏中の拍手がマナー違反という気持ちだ。

川畠さんは少し微笑みながら演奏を続けた。拍手をごく自然に受けとめてくださる姿が印象に残った。

コンサートで話してくれたことを覚えている。

ヴァイオリンと出会えたことが幸せだった。続けていると苦しいほうが多いかもしれないけれど、出会った頃の喜びを思い出すと…

その後、私は大きな会場のコンサートに行った。でも思い出すのはあの小さなホールでの演奏、そして微笑んだ川畠さんの表情。

シャコンヌ

アヴェ・マリア