「将来やりたいこともないし就活が不安。とりあえずインターンシップに行かなきゃ」とあなたは思っていませんか。そもそも働くって何だろう? 土台から疑問を感じる人は、この本を読んでみてください。
行きたいところが思いあたらず、プレッシャーから「行かなきゃ」と感じる。みんながやっていること、周囲からの期待を基準に考える。これを「外からのベクトル」と呼ぶことにします。
私も実感として、この状況には焦りや息苦しさがあるだろうと思います。
- 外からのベクトルを基準にすると自信がなくなってしまう
- だからといって自分を基準にするのは不安だ
- 外からのベクトルはずっと自分を不安にし続ける
堂々めぐりです。そこで、就職、仕事という言葉をひとまず棚上げして、自分の果たしたい役割はなんだろう?と切り口をかえてみませんか。
「内なるベクトル」が指し示すもの
新たに踏み出すときは「もっと頑張る」方向に考えがちです。心配は分かりますが、「厳しい寒さ」を想定して着こんでしまうと、身動きがとれなくなります。
不安をこらえて、いま身につけている服を一度脱ぐ(喩えです)。寒いと思ったのは幻にすぎません。まぼろしなのだから恐がらないで大丈夫です。自分を剥いていって、素の自分に問いかけるのがいいと私は思います。
これまで経験したことのなかに、これからを示すヒントが眠っているはずです。
きっとあなたは自分の役割を知っている
現代社会においては、基本的に職業選択の自由があります。ですからあなたがどんな職業につこうと自由です。しかし、誰かがあなたが選ばなかった仕事をやってくれないと社会はまわりませんし、会社もまわりません。だからこそ、自分がやらない仕事をしてくれている人に感謝ができなければなりません。私の代わりにやってくれているという考え方が、幸せを呼び込む第一歩だと思います。
自分がやらない仕事をしてくれている人がいて初めて社会が成り立っている。そういう人がいて、自分が活躍できる。(154ページ)
筆者のいう「感謝」「私の代わりにやってくれている」が、私の考える「役割の違い」です。
私は多くの業種を知りません。たくさんのなかから比較検討した訳でもありません。自分が果たしたい役割は、私のなかに「ある」のです。それを手がかりに、いまこの文章を書いています。
あなたには、あなたの役割が既に備わっています。それは職業とイコールではなく、仕事を通して発揮される役割でもあり、一人ひとりオリジナルな役割があると信じています。
役割の違いは言葉通り「違う」だけで、上下でも優劣でもありません。
私の好む言い方になりますが、価値は同じなのです。
外からのベクトルで見ると「そんなこと言ったって……」「理想に過ぎない」と感じるでしょう。でも誰かと比べて語られる「現実の厳しさ」なんて幻です。繰り返しますが、恐がらないで大丈夫です。
内なるベクトルであなたに「ある」ものに納得すると、自分の役割があらわれてきます。
就活が「自分を取り戻す」経験になるよう応援しています。
小さな仕事に向き合えない人は、大きな仕事はできないと私は思います。さらにいえば、大きいか小さいかはあなたの主観であり、小さい仕事と感じるのは、その仕事は私がするべき仕事ではないとある種の差別をしているのです。仕事に上下をつける人は、結果的に人を上下に見ている人と同じです。だからこそ、どんな仕事もそれをする人の心を育てることが重要です。(159〜160ページ)